機能性表示食品や保健機能食品という言葉はよく耳にします。その他にも、「特定保健用食品」「栄養機能食品」など、似たような言葉がいろいろとあります。その表示のついている食品に含まれる栄養に関する言葉なのでしょうが、はっきりとした意味はわかりにくいですね。
しかし、意味の違いが分かれば、食品を選ぶ時の目安にすることができます。
平成13年に厚生労働省によって、多種多様に販売されていたいわゆる健康食品の中から、一定の条件を満たした食品を「保健機能食品」と称することを認めるという保健機能食品制度が創設されました。その時に、「特定保健用食品」と「栄養機能食品」が「保健機能食品」であると定められました。
その後、平成27年に「機能性表示食品」が追加されました。というわけで、「保健機能食品」とは、「特定保健用食品」と「栄養機能食品」と「機能性表示食品」という3種類の食品を指す言葉となりました。
特定保健用食品は保健機能食品の一つです。トクホと呼ばれることもあります。特定保健用食品は、保健の目的で食べる食品に関して、それを食べることにより、当該特定の保健の目的を期待できるという旨の表示(保健の用途の表示)がされている食品です。
保健の用途の表示とは、例えば、「お腹の調子を整える」・「コレステロールの吸収を抑える」などの表示です。また、特定保健用食品を販売するには、その表示について、生理的機能や特定の保健機能を示す有効性や安全性に関して、個別に国の審査を受けて消費者庁長官の許可を得なければならないことが、健康増進法に定められています。
特定保健用食品のマークには、「消費者庁許可」の文言が記されています。このマークは、その商品の効能に関し、消費者は安全で効果があると信頼しても良いという国からのお墨付きになります。
栄養機能食品は保健機能食品の一つです。栄養機能食品は、特定の栄養成分を補給するために利用される食品です。例えば、ビタミンやミネラルが1日に必要な量に比べて不足しがちだとしたら、それを補給するために利用するのです。
栄養成分の機能が容器包装に表示がされている一般用加工食品および、一般用生鮮食品を指します。その表示については、「1日当たりの摂取目安量に含まれる当該栄養成分量が、定められた上・下限値の範囲内にある必要があるほか、基準で定められた当該栄養成分の機能だけでなく注意喚起表示等も表示する必要があります」と食品表示基準に定められています。
具体的にいえば、「栄養成分の機能」・「摂取する上での注意事項」「1日当たりの摂取目安量」「栄養素等表示基準値に占める割合」などが表示されています。「栄養性機能食品」は、科学的根拠が確認された栄養成分を一定の基準量含んでいる場合には、栄養成分の機能を表示する際に、国による個別の審査を受ける必要はありません。
また、基準さえ満たしていれば、特に届け出などの必要はありません。
機能性表示食品は、事業者が、国の定めるルールに基づき、食品の安全性と機能性に関する科学的根拠などの必要事項を、販売前に消費者庁長官に届け出ることにより、機能性を表示した食品です。「おなかの調子を整えます」・「脂肪の吸収をおだやかにします」などの、特定の保健の目的が期待できることや健康の維持や増進に役立つことを表示することができるのです。
「機能性表示食品」の制度が、導入された目的は、特定保健用食品(トクホ)以外にも食品の機能性をわかりやすく表示した食品を増やし、消費者の選択肢を増やすことでした。ところで、機能性表示食品については、特定保健用食品(トクホ)の場合とは異なり、事業者からの届出内容に関して、国は審査を行いません。
ですから、事業者は、自らの責任において、科学的根拠に基づいた適正な表示を行うことになります。
また、すべての機能性表示食品に関する届出情報は、消費者庁のホームページで公開されています。消費者は、その情報も購入の際には参考にすることができます。また、公開することにより、事業者はいっそう緊張感をもって表示をするこになります。
次に、機能性表示食品の留意点を二つあげます。一つ目は、病気に罹患している者・未成年者・妊産婦・妊娠を計画している者・授乳婦を除く者を対象とした食品であることです。二つ目は、対象は生鮮食品も含めた全ての食品(一部除く)であるということです。
既に述べたとおり、「保健機能食品」には、「特定保健用食品(トクホ)」と「栄養機能食品」と「機能性表示食品」の3種類があることがわかりました。「機能性表示食品」は「保健機能食品」の一つであるという点が、「機能性表示食品」と「保健機能食品」の違いです。
「保健機能食品」制度により、健康食品と一口に言われていた食品を消費者が分かりやすくなるように一定の基準を設け、カテゴリー分けしました。このカテゴリー分けができたことにより、消費者は自分の目的にあった食品を安心して選ぶことができるようになったわけです。
「特定保健用食品」・「栄養機能食品」・「機能性表示食品」以外の食品は、食品の持つ効能や機能を表示することはできませんと食品表示基準に定められています。このことにより、保健機能食品に対する信頼は、さらに増します。
ただし、保健機能食品は、たくさん摂れば摂るほど、健康が増進されるというわけではありません。逆に摂り過ぎにより、健康を害する場合もあります。表示に示されている摂取量の目安や摂取の仕方などの摂取する時の注意事項を守ることが大切です。
まずは、自分の食生活を振り返り、主食・主菜・副菜を中心にしてバランスの取れた食生活をすることが必要です。保健機能食品は、あくまで補助と考え、また摂取したことにより具合が悪くなるなどの症状が出た場合には、すぐに摂取をやめることも大切です。
「機能性表示食品」と「保健機能食品」は、似た印象の言葉ですが、意味は違います。「機能性表示食品」は「保健機能食品」というカテゴリーの中に含まれている一つの食品グループなのです。保健機能食品は、健康のために良い食品としての表示のある食品です。
「保健機能食品」制度ができたおかげで、健康のために良い安心安全な商品を消費者は選びやすくなりました。